件名の資料を目にした。
なんでも、熊本刑務所に服役している被収容者が、その懲罰に対する不服申立のために関連する条文、裁判例、条文解説の掲載された書籍の閲覧許可を求めたところ、これら書籍が、その刑務所独自の「使用を許可する物品」に含まれていないとして使用を許可されず、弁護士会に人権救済を求めてきたという。

刑務所側の言い分は、(1)不服申立は条文解説等を参照しなくても出来る、(2)量的種類的に無制限の書籍の閲覧を認めると巡回事務が停滞する、というものだという。

なんとも低次元な、と呆れるのではなかろうか。
一律不可としておけば、それは管理上、とても楽だろう。
管理上は楽だろうが、対立利益への目配りはどうなったのか。誰も止めようと思わなかったのか。
資料からは、上記の独自規則がいつから運用されているのか分からなかったが、いかに被収容者が弱者かがよく分かる。既決の人については、弁護士への相談機会も限られ、法の支配の最も及んでいない範疇と言えるだけに、弁護士会の人権救済活動にはこれからも期待したい。

(弁護士 金岡)