名古屋高裁で事実誤認の一項破棄。久方ぶりだ、と告白せざるを得ない。前の一項破棄が、いつの、どのような事件だったのか、俄に思い出せない時点で重症である。

近時、一審の争点の立て方が拙く、「お互いに自分が青というどちらが正しいか」という土俵になってしまった結果、「被告人が赤。よって被害者は青。」と短絡した一審判決に対し、控訴審を受任した結果、「被害者は黄」まで認められ、重要な量刑事情を誤認したと言うことで1項破棄された判決を得た(名古屋高裁刑事第1部、山口裕之裁判長)。

華々しくもなく、また、不満点もあるので、普通なら殊更に取り上げる価値があるとまで思わないのだが、なにせ自身、連敗に連敗を重ね、おそらくは弁護側総崩れ感のある名古屋高裁だけに、ここに書きとどめておくのも良かろうと思われた次第。

(弁護士 金岡)