本欄本年10月10日で、「これでいいのか接見等禁止決定」と題した接見等禁止決定の事例を紹介した。
実父との関係で既に解除されているのを見落としたのか、それとも相応の理由をもって復活させたのか、本当のところは分からないが、どちらにしても、明らかに違法にも包括的接見等禁止を「復活」させたことに対し、外部交通を制約することが直接的人権侵害である、強度の侵害的処分であることへの自覚に乏しいのではないかと思わされる挿話である。
さて、この依頼者が、上記とは別件で起訴された。
そしてなんと、起訴と同時にまたも、実父との関係での接見等禁止が「復活」したのである(藤本理裁判官)(捜査段階では「復活」していなかった)。「またか」とすぐに準抗告を申し立て、前回と全く同じ理由で認容された。
実に杜撰な裁判だといわざるを得ない。
一事が万事というように、外部交通制約を強度の侵害的処分と実感できない裁判官は、さながら冤罪製造機と化すのだろうと思うと暗澹たる気持ちになる。
準抗告裁判だから「再度の考案」はなく(刑訴法432条参照、てっきり実務的には原裁判所を経由すると思い込んでいたが、どうやらそうではないらしい)、藤本裁判官の胸中は知りようもないが、率直に言えば「いい加減にして欲しい」。実際、折悪しく面会に行った実父が「会えない」と報告して寄越してきたのであり、実害も生じているのだ。
(弁護士 金岡)