弁護士会は、弁護士倫理涵養のため義務研修をも導入し、一定年数毎に倫理研修を受けなければならないとしている。日弁連単位あるいは他会の実情は知らないが、愛知県弁護士会では一定年数が経過すると5年ごとであり、座学だけではなく討論に積極参加させる工夫をしているようである。
本年、またも5年目が巡ってきたため、義務研修に参加した。
座学は実に退屈であり、日々、貪欲に知識情報を吸収しようとする専門家として最低限の姿勢を保っていれば知っていて当然という内容ばかりである(専門相談担当資格だとか専門名簿登載要件だとかいって実施される研修に限って、このような基礎的内容ばかりで受講意欲を削ぐのはどういうことなのだろうか・・)。
討論の素材は、相続人の一部である数名から受任する場合を念頭にしたものであり、利益相反や守秘義務などで悩ませる狙いのものであった。
毎度毎度思うのだが、倫理研修の素材というと決まって、この手の、数名から受任する場合を念頭にした民事事件である。よほど、このような類型での苦情や反倫理的弁護が多いのだろうか。
個人的には、少なくとも半数くらいの弁護士は国選弁護を担うはずなのだから(そして国選の裁判員裁判は一部層で稼ぎどころと目されたりもしているのだから)、刑事事件を素材とした倫理研修が必須だと思うのだが、どうだろうか。
フリードマンを持ち出さなくとも、傍目にも危ない橋を渡っている弁護士をしょっちゅう見かけるので、弁護士会には、選択的、あるいは第2問として、さもなくば刑事弁護研修として、刑事弁護倫理研修も考えて欲しいと思う。
(弁護士 金岡)