ようやく読んだのだが、これは読まれるべき本だと感じた。私は弁護士の中でも仕事の中で憲法に言及することが多い方だろうと自負するが、知らず知らず法律という狭い箱に閉じこもっており、かくも憲法が血肉の通ったものだとは・・どうにも感度が落ちていたようだ。

敢えて注文を付けるなら、時節柄、憲法9条、ついで自由権への言及が圧倒的であることはやむを得ないが、憲法31条以下の適正手続についての論者もいても良かったのではないか。実体法があっても手続法がなければ結局、無に帰するのだから。

それにしても、「少年少女日本の歴史」までが歴史修正主義に汚染されていたとは、知らなかった。私は世代的に1994年歴史修正版の前の読者であったと思われるが、そのことは幸いだった。

(弁護士 金岡)