一部執行猶予実刑の直後の控訴保釈が不許可となった。

その理由。
まずは原決定「禁錮以上の刑に処する判決の宣告があったものであり、かつ、職権で保釈を許すことも適当とは認められない。」。
続いて抗告棄却決定「刑訴法89条の適用はない。所論指摘の事情を考慮しても、職権保釈を認めなかった原決定に裁量逸脱の誤りはない。」
現在、特別抗告中である。

この事案は、起訴されてから判決までの1年3か月余り、保釈されていた。諸事情により役所と繋がり役所経由で施設入所も決まっていた。つまり保釈しても何か裁判に不都合があるとは思えない案件である。
それなのに保釈されない。

一部に、「裁量保釈は特別な事情がないと認められない」という、法律の文言を無視した(裁量保釈は「適当」かどうかである)、心得違いをする裁判官(必要性の無いところに侵害的処分を行い得ないことは常識でなかろうか)がいることを踏まえても、上記のような経過があるため、本件で過去1年3か月と同様に保釈し続けることが不適当だと断じられる理由は皆目見当がつかない。

挙げ句が、上記各裁判理由である。本来、それなりの理由を附すべき抗告審裁判所も結論しか書かない(過去の裁判例に照らし、山口裁判長のこだわりの方針であることは明白だ)。裁量保釈を認めないことに違法はないという結論しか書かれないのでは、何が何だか分からない。
これで最高裁がおなじみの三行半をした日には、依頼者も私も永遠に保釈されない理由を知ることが出来ないままである。

これが裁判と言えるのか。
100人に聞けば一部裁判官を除きおかしいと言いそうな話なのだが、それが罷り通る異常さ、である。

(弁護士 金岡)