弁護士ドットコム・現代人文社共催のセミナーで標記の研修を担当した(千葉県弁護士会の南川弁護士と御一緒)。季刊刑事弁護97号で組まれた同旨の特集を分担執筆した御縁のようだ。弁護士業における宣伝広告の在り方を巡り考え方に相違があるので弁護士ドットコムと関わりは持たずに来ているが(変えるつもりもない)、研修自体に断る理由は無い。
一口に「違法捜査」といっても、続々と新しい問題が生じている。定型的に争う技術と鋭い問題意識をともに要求される分野であり、弁護人の感覚と力量が問われる。とりわけ科学技術の発展に伴い、「とりあえず適法」で決着した分野も、再度、問い直す必要があることについて、研修の準備の中で痛感したものである(ゴミを捨てることで遺伝子情報を放棄したと見なされるというのは、いまやどうしたっておかしいだろう)。
定型的に争う技術は、捜査・整理手続・尋問の全体を通じ、要求される。それぞれについて2時間は欲しいのが本音の分野である。尋問実践まで含めれば10時間は欲しい。それを僅か数時間の研修に押し込む企画というのは、少々乱暴ではあるが、まずは要点を大づかみにするという意味では有意義であったようにも思う。
なお、研修の実をあげるために、千葉県弁護士会を含む数名の有志の先生方、また証人役を御快諾頂いた菅原弁護士には、特に御礼を申し上げたい。
(弁護士 金岡)