保釈が却下された。
「検察側意見が出たら直ちに謄写する」と裁判所に連絡を入れてあったというのに、「謄写できました」の連絡から却下決定まで僅か20分という有様。片道10分で回収に行った事務員が戻る前に却下の一報があった。

「直ちに謄写する」というからには、「内容次第では意見を補充しますよ」という意向だろうことくらい、業界人なら分かるだろうに、そういうのをまるで無視してくる姿勢は恐ろしい。赤ん坊でも分かるように、定型文言で書いて差し上げなければお分かり頂けないとすると、そこまでお守りの必要な裁判官に人生を握られる被疑者/被告人にはお気の毒様と言う他ない。

(無論、身柄裁判に限ったものではないが、)身柄裁判もまた、手続保障のお粗末さが極まった分野である。捜査機関の疎明資料は見られない(=反論権が実質的に保障されていない)、判断理由は示されない(「何号の除外事由があり、裁量保釈も相当でない」と御説明頂いたからと言って、却下理由の説明にはならないから、不服申立権が実効的に保障されているとはいえない)、挙げ句、保釈案件の場合には閲覧謄写が可能な検察官意見を見る余裕もなく却下を喰らう。

「何人も、法律の定める手続によらなければ、その・・自由を奪はれ・・ない。」(憲法31条)
「何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。」(憲法34条)

憲法の理想が、これほどに空文化していることについては、既に何十年もの間、批判がされているのに、一向に変わる兆しが見えてこない。
及ばずながらもと、特別抗告もし、国賠もしているが、カマキリ(蟷螂)が、ぬか(糠)相手に格闘しているような趣である。

(弁護士 金岡)