本欄昨年11月14日付けで十連休法案は慎重に審理すべきだと述べ、身体拘束下の被告人にも目配りせよと指摘したが、(当たり前だけれども)十連休は既に現実のものとなっている。
さて、(代用でない方の)刑事施設は、弁護人であっても原則平日しか接見できない。一般人に於いては代用の方の刑事施設でも同様である。
代用でない方の刑事施設について、十連休中の接見はどうなるのか?というと、5月4日の祝日である土曜日を通常の土曜日扱いにすることと、祝日でも必要性がある場合は柔軟に接見予約を受け付けるよう申し合わせがされた程度のことである。つまり、原則、十連休中は接見不可能である(十連休に入って、接見に行きたい!と思いついたとしても、多分、代用でない方の刑事施設には電話すら通じず、予約を入れるどころではないと予想する)。
とある事情で週1の接見を重ねている依頼者がいるが、十連休の煽りで、土曜日の接見を敢行せざるを得なくなった。実に迷惑なことだ。
勿論、「中から」の連絡に至っては到底、不可能なわけで、被収容者が「このことを弁護人に相談したい!」という切実な思いを抱えても十連休中はお預けである。
政界の御大尽やらには刑事施設など社会の隅の隅に過ぎないのだろうが(時々は御厄介になられるとしてもだ)、「象徴の交代」という文字通りに読むと理解しがたい事態にはしゃぎ回る一方で社会の隅の隅に配慮できない政治など、愚物としか言いようがない。
ついでに。
上記申し合わせは、弁護士会が諸々の申し入れ手段を講じた末のものと承知しているが、ではその弁護士会が、「十連休中の一般面会」について、なにか物申したかというと、私が知る限り、答えは「否」である。
外部交通権について声高に言い立て、身体拘束を批判する弁護士会も、せいぜい自分たちの職域にまでしか頭が回らなかったと思われる。
かくして、十連休中、被収容者は、家族と会うことができない。差し入れも無理だろう。
罪証隠滅と逃亡を防止するだけの施設に於いて、10日も家族と切り離されることが人権侵害だよと、社会が思わず、弁護士会も声を上げないとすると、もうどうにも救いようがないなぁと思う。
(弁護士 金岡)