どれもこれも報道されていることだが、今週に入り、注目すべき判決が相次いだ。
1.在外者の国民審査権
2.強制不妊国賠
3.布川再審国賠
4.腰縄手錠国賠
4の腰縄手錠問題は、本人から言い出してくれないと弁護人といえど「こんなもの」で漫然と見過ごしてしまいかねない問題をよくぞ抉り出し、また、裁判所(大阪地裁)も、よくぞ、手錠等を施された姿を濫りに見られない権利が憲法13条に根ざす人格的利益だと認めたものだと感心した。判決では、被告人が上記権利行使を弁護人を通じて申し出たのに取り合わなかった裁判所の姿勢をして不相当だと判断した。言い出さなければ、慣行通りに濫りに晒すことに問題がないという評価だといかがなものかと思うが、言い出しさえすれば良いのだから、身体拘束下の被告人を抱える弁護人は、すぐにでも依頼者との協議を始めるべきだろう。
因みに、裁判員に上記姿を晒すことの問題性という形では議論された腰縄手錠問題、名古屋地裁では、(傍聴人問題はさておいて、)裁判長が入廷し、開錠後、陪席裁判官と裁判員が入廷するのだが、浜松支部では一歩進んで、裁判長入廷前からさっさと開錠している(裁判長だけ見るというのも人格的利益を害すると判断してのことなのか、裁判長だけ先に入廷するのが不自然だという理由なのか、そこは聞いたことがないから分からないが)。
法廷を完全に無人にすることは不可能だとしても、書記官1名、拘置所職員、弁護人のみの状態で開錠し、その後、裁判体と傍聴人を入廷させれば、上記人格的利益は相当守られるように思われる。
より根本的に言えば、押送職員が法廷に入る一歩手前で開錠してしまえば以上のような問題は全て解消しそうであるし(但し前掲大阪地判では刑事施設職員の裁量の問題だと捉えられている)、一歩手前が難しければ、押送側の入口に遮へい用の「蛇腹衝立」を設置し、そこで開錠してから法廷内に進めば良いだろう(被告人の用意が終わるまで法廷に人を入れないようにすることは煩雑なので、個人的には蛇腹衝立方式がお手軽だと感じる)。
(弁護士 金岡)