札幌地裁の書記官が、申立書や付属書類の暦年表記を元号に統一するよう要求したという事態があり、話題になっている。
元号法が制定された当時の国会において、元号法は「一般国民に元号の使用を義務づけるものではない」と国務大臣が答弁していることと矛盾するし、元号を使おうと使うまいと自由であるから国家権力に強要される謂われはない(私も本年5月を契機に、元号は使わないことにした・・裁判例の引用などで感覚的に不便だが、慣れの問題だろう)。

この問題を問う、有志弁護士らの公開質問状に対し、札幌地裁は、本年7月29日、例の如く文書による回答は避けたものの名代を事務所に派遣し(うちの事務所にも名古屋地裁のお使いが何度か来ている)、書記官が元号の使用を強制したことについて謝罪すると共に、今後、このようなことがないように職員に対して指導を徹底することを約束したとのことである。

なんとなくで流されること屡々の世の中ではあるが、おかしいと思えば手間を惜しまず地道に取り組むのが肝要である。

(弁護士 金岡)