公開法廷における腰縄手錠を衆目に晒さない(裁判所にも晒さない)という問題については、本欄で関心を持って取り上げたところである。

これに関し、「衆目に晒される腰縄手錠」の場面は他にもあるなぁと思うところがある。

まずは警察署に接見に行った時である。
名古屋市内の警察署には、敷地面積に限りがあるのか、接見室に通る過程で取調室の前を歩くことになる庁舎が複数ある(少なくとも5~6箇所は確かだ)。ひどい時には取調べの状況が丸見えだし、そうでなくても、そこを出入りする際の腰縄手錠姿の人とすれ違うことがある。
見て見ぬふりはするが、宜しくないだろう。

上記は、誰でも出入りできる所とまでは言えないかも知れないが、警察署から集団で検察庁に連行するような時間帯だと、カーテンで遮る等はしているが、正面玄関から見えるところで数珠つなぎに移動させられている場面に遭遇することがある。時々、中がちらりと見えてしまうが、これなど一般市民の衆目に晒す危険が大きい行為である。

次に検察庁。
やはり接見に行った時、名古屋地検の地下構内接見場所近辺の出入りで、同じように腰縄手錠姿の人に出くわすことがある。時に2~3メートルの至近距離で、目をそらしたいがあからさまにそらすのもどうかと逡巡させられる。

地下構内接見場所は、誰でも出入りできる所ではないが、先だって名古屋地検の5階に依頼者を同行した時、エレベーターホール前で、向かいの部屋から腰縄手錠姿で出てきた人に遭遇した(見た感じからすると未成年ではなかったかと思う)。
無論、私の横には依頼者がいたので、在宅被疑者が出頭するという意味で一般市民が出入りし得る場所(ということはおそらく、被害者や参考人などの一般市民も出入りし得る場所)で、腰縄手錠姿との遭遇があり得るということである。

問題意識の乏しい時代に作られ、動線の工夫などが熟れていないためかもしれないが、それにしても、脇が甘すぎるだろう。
弁護士会が取り上げていくべき問題のように思われた。

(弁護士 金岡)