検察庁の構内での接見も随分と一般化した。
無論、最も威力を発揮するのは弁録直前の接見であろう。
先日、遠方の検察庁へ新件送致に合わせての構内接見を申し入れた。
すると担当事務官曰く「弁録の前ですよね」と。
検察事務官にして、というと失礼であるが、実に的確な理解である。
ただ残念なことに、弁録の予定時間からは2時間ほど到着が遅れざるを得ず、「到着を待って頂きたい」と述べるも「流石に無理です」と言われてしまった。
考えてみると、何故こちらに選択権がないのか、という制度の不備である。
検察庁も、刑訴法の時間制限との兼ね合いはあるのだろうが、逆に言えば、時間制限の範囲内であれば検察庁の都合が優先する合理的理由も無い。
被疑者が、「勾留請求が48時間ぎりぎりになっても(つまり身体拘束期間が数時間、伸びても)弁護人との打合せを先行させたい」と主張するのは、防御権であり、裏を返せば弁護人の弁護権であるはずである。
「刑訴法の時間制限内に勾留請求が可能と見込まれる限りにおいて、被疑者には、弁護人到着まで弁録に応じない権利がある」と、何故ならないのか。弁録前に弁護人と打合せをしたいという当然の権利を認めるか認めないかを、被疑者が決めるのではなく、検察官が決めてしまえる制度は、対立当事者に防御の要否を判断されるという不可解さであり、やはり旧態依然たる糾問主義の臭いがする。
勿論、全てを解決する妙策は、弁護人立会権を認めることに尽きるのだが。
(弁護士 金岡)