(1-1)接見等禁止請求却下→検察準抗告棄却
(1-2)勾留決定→準抗告→棄却
(2-1)接見等禁止請求却下→検察抗告棄却
(2-2)保釈請求認容→検察抗告棄却
(3-1)保釈請求却下→抗告
近時、概ね3日間の間に飛び交った身体拘束にかかる裁判(基本事件3つ分)。
流石にちょっと多すぎだ。
扱う事件の性質か、弁護人の属性か、分からないけれども、極めて高い割合でどちらかが(準)抗告を出すので、その度に、謄写だ反論だと忙しいことこの上ない。勿論、主張書面を出すからには疎明にも気を配るわけで、接見まで含め忙殺される。
その3日に関していえば、尋問、整理手続が3件ばかり、境界紛争の現地調査まで加わっていたのでてんてこ舞いだったが、それでも、手続保障の下に迅速な釈放を求めることは基本中の基本、弁護人の都合で後手に回るようでは看板倒れも良いところだと思ってひたすらに対応する。
前置き終わり。
さて、件名についてだが、夕方に検察官の求意見が出たので、謄写して反論したいというと、「多分、謄写組合が閉まってしまう」とのこと。そりゃそうだろうと、例外的にファクスで送るように要望したところ拒否された。
担当裁判官(合議事件で名古屋地裁刑事第6部、現時点では担当裁判官を決定書で確認できていない)曰く、「反論の機会が必要というなら、判断は週明けになります」という(但し書記官Jさんからの伝聞)。
週内に釈放の裁判を求めるか、週明けまで遅らせて反論の機会の保障を求めるか、何故、どちらかしか選べないのだろうか。「どちらも」を求めて何が悪いのだろうか。
と、書記官を介して裁判官に伝えて貰うも、判断は変わりなく、やむなく週内に釈放の判断を求めた(が、敢えなく却下された)。
依頼者の週内の釈放を人質に取られて脅迫されると(なるほどこれも人質司法に違いない)、それはまあ、「自分の保釈請求は意を尽くしているはずだ」と信じて判断に進む方を選択せざるを得ないだろう。
しかし、手続保障か迅速な釈放か、どちらかしか選ばせてくれない裁判官に期待するだけ愚かだったのかも知れないと、今にして思う。
身体拘束絡みの裁判文書のファクス送付は、既に10年以上、私の中で課題であり続けている。迅速な主張、迅速な反証が要求される中で、時と場合により、受け取りに行けないが、裁判所の文書にせよ、検察意見にせよ、無くては済まされないのが反論権という点での手続保障である。
この種の裁判文書が軽々にファクスされるべきでない、と言われるとそうかもしれないが、検察庁がファクスで証拠開示してくることも普通にあるし、そこに前科調書や前科判決が含まれていることもざらにある。民事事件で、書証がファクスで直送されるのは当然の要求であり、文字通り日常茶飯事だ。
つまり要は、誤送信を避けるべき丁寧な遣り取りをすれば良いだけのことであろう。テスト送信→確認→履歴に基づく本送信、という手順は、今日日、どこの検察庁でもやっていることである。それだけに、IT法廷を実現しましょうという掛け声をかけている裁判所が、ファクス一つ上手に扱えません、というのは、正しく荒唐無稽に過ぎる。
実のところ、ファクス送付は裁判官の裁量である。としか言いようがない。
こつこつと試した結果、数年前までに、名古屋・岐阜のほぼ全ての裁判所から、勾留状謄本のファクス送付に成功している、というのは、私の研修では強調することだ。
勿論、取りに行けるのにファクスで送らせるというのは宜しくない。しかし、時間外を中心に、どうしても取りに行けない場合に、「手続保障が欲しいなら判断を遅らせます」という対応をするほど、ファクス送付が難しいということは考えられない。
このように考えると、「一律」ファクス送付を不可とすることは、不必要にして不相当である。とりわけ、手続保障か、迅速な釈放か、どちらかと迫る前に、文明の利器の操作方法を学んで人権保障するくらいの知恵は働かせるべきだろう。
(弁護士 金岡)