取調べの立ち会い、の一歩手前というか一歩後というか、そんな経験談である。

勾留請求却下後の在宅状態での警察取調べに立ち会いを求めたが拒否されたので、代わりに「弁護人はすぐそばで別室待機し」「包括的黙秘権を行使する意思を確認するに十分な5分で休憩に入る」という取り決めで取調べに入った。
数分で取調べは終わり、休憩に入った。同時並行で、「黙秘します」と書いた調書が作成されたようである。

その後、取調官がやってきて、「調書をしめるので立ち会いますか」と。
かくして、取調べの最後に立ち会い、依頼者と一緒に「黙秘黙秘」と書かれた調書を確認し、署名押印はお断りして、一緒に退出した。

現在進行形のとある国賠事件では、弁護人の取調室への立入は有り得ないと強弁する被告側から、次のように主張されている。
「部外者が刑事課の部屋内に立ち入ることで、捜査情報の漏洩など現在進行形の捜査に支障を来すことから、刑事課の部屋内は勿論、取調室にも、部外者を立ち入らせることはさせておらず、被疑者等の取調べのための検察官ないし部外通訳人などであっても、許可無く立ち入ることは認めない」
相変わらず臆面も無くウソをつくなあと呆れてしまう。

(弁護士 金岡)