既に主要メディアも取り上げている。
日本学術会議会員の半数改選のための推薦名簿に掲載された学者のうち6名が、任命権者である内閣総理大臣に任命されなかったという史上初の出来事だそうだ。渦中のお一方より御教示頂いたが、なるほど大問題だ。
規定がどうなっているかは、既に他所でも解説されているが、日本学術会議の「推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」。推薦名簿に掲載されない人物を任命できないのは勿論だが、素直に読む限り、推薦を拒否できるようにも読めない(余力がないので原典には当たれていないが、実質的な任命権ではないという政府答弁もあるようだ)。
・お気に入りの検察官だけ定年延長できるようにする。
・日弁連の推薦を無視して最高裁判事を任命する。
・お気に入りの学者だけを学術会議入りさせる。
と、こう並べると、おぞましいの一言だ。異論を唱える官僚は異動させると宣い、なんでもかんでも統制下に置こう、耳に心地よい意見だけを集め批判は許さないとする近時の政権の体質が良く出ている。・・・国益を損なうような芸術には金を出せないと息巻く某市長も含め、あちらこちらで腐臭が漂う惨状だ。
報道によればきっちり改選人数しか推薦しなかったという学術会議は、つまり現状、6名の欠員について再度、推薦を求められるのだろうか。であれば、きちんと今回の6名を推薦して譲らない矜持を見せて貰いたいものだ。
いつぞや、名古屋地裁が国選弁護人の推薦依頼にあたり「特定の弁護士を除くよう」要求したが、時の担当副会長が頑張って「その特定の弁護士を再度推薦した」という出来事があった(その事件は最終的に無罪になった)。託されているものの重さを思えば、なすべきは自ずから明らかだと思う。
(弁護士 金岡)