日本学術会議事件に関し、刑事法研究者の声明が出された。
https://sites.google.com/view/scj2020keiji/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0?authuser=0
上記のウェブサイトから閲覧できる。
声明は、「刑事法研究者は、戦前の滝川事件で言論弾圧の対象になった経験を有している。」とした上で「任命を拒否された6名のうちの1名は、長年にわたり日本刑法学会の理事を務めている刑事法研究者である。質量ともに圧倒的な研究業績を誇り、日本を代表する刑事法研究者のひとりであることは衆目の一致するところである。科学者コミュニティの代表としての適格性には、まったく疑いがない。」としているが、松宮教授に何度も意見書を御願いした身として、全く異論の無いところである(時利あらずというか、裁判所に理あらずという方が正しいのだろうが、教授の意見書を活かし切れているとは思わないが、それでも一再ならず無罪判決が得られている)。
私事になるが、実のところ、こういった声明に加わるのは余り好きではない。異論は無くとも隅から隅まで一言一句に賛同できる声明というのはそうないし、言いたいことがあれば自分で表明するし、衆を恃むような雰囲気が醸されるのも好きではない。
しかし今回は、事態の性質が捨てておけない重大事であるし、一実務家の身ながら刑事法研究者の末席を汚して良いように言って頂いたので、賛同人に名を連ねさせて頂いた。賛同人も、前記ウェブサイトから閲覧できる。
人により思いは様々であろうが、普段は余り露出されない元裁判官も賛同人に複数名、おいでであることからも、事態の性質が窺われよう。
本欄を閲覧される方には関心の向くところと思われるので、是非、閲覧頂ければ幸いである。
なお、既に数多くの学術団体が抗議声明を発表しているところであるが(弁護士会の動きが鈍く心配していたが、漸く日弁連も声明を出した)、紹介された中からでは、「自然保護の観点から日本学術会議会員の任命拒否に抗議する声明」など、もっと知られて良いと思った。
抗議声明に対し口汚く罵る向きは、頭を冷やして、まずは読み、それから我が身に置き換えて考えるべきだろう。
(弁護士 金岡)